
ごきげんよう。Maison Echelleプロデューサー/デザイナーのSAORIです。
普段このコラムはPR担当のArisaが書いてくれていますが、今回は初めて私が担当します。
2025 Autumn / Winter Collectionより、🔗 グレースティアードスカートの制作秘話や、込めた想いについてお伝えさせてください。
私には、大切にコレクションしている、「お気に入り生地BOOK」のファイルがあります。
そこにはたくさんの生地のサンプルがファイリングされてあり、時間ができると開いては、「この生地でどんなお洋服が作れるかな?」と妄想するのが楽しかったりします。

ページをめくっていて、いつもふと手が止まる生地がありました。

初めて触れたとき、そのナチュラルな質感と上品なしなやかさに惹きつけられ、「いつか、この生地で服を作りたい」と思いました。
この生地は、木材パルプを原料とした半合成繊維「トリアセテート」。
天然繊維のような温もりと、化学繊維の扱いやすさを兼ね備えています。
年齢を重ねるごとに、完璧すぎる人工物より、どこか人の手の温もりや自然を感じられる素材に惹かれるようになった私にとって、理想的な質感でした。
それでいて、天然繊維100%のようにシワがつきやすいこともなく、美しい表情を長く保てる——そんなところも、この生地を選んだ大きな理由です。
そこから、私の妄想は始まりました。

ドレープが美しい生地だからこそ、細やかなギャザーを贅沢に重ねたティアードスカートにしたいと考えました。
しかし、メーカーに相談したところ、「この生地は生地値が高く、どうしても販売価格も高くなってしまう」との回答が。

一度はひるんだ私でしたが・・・それでも、この生地で作ったスカートを自分が履きたいと覚悟を決めて、製作を進めることにしました。
ところが途中で、この生地が廃盤になるという知らせが届きます。

駄々をこねても状況は変わらないので、平然を装い「承知しました☺️」と返信しましたが、内心は、「終わった・・・」と思いました。(笑)
代わりの生地を探しましたが、同じ質感・同じ落ち感を持つものは見つかりません。
最終的に、メーカーさんからの提案で、残っていた生地を確保し、スカートとして形にすることを決めました。
生地の追加生産はもうありません。
おそらくこれが、最初で最後のスカートになります。

だからこそ、デザインは、何年先も愛用できる普遍的なシルエット。
カジュアルなTシャツにも、きれいめなブラウスにも合い、シーズンやシーンを選びません。
ブランドの象徴であるハシゴレースを、ウエストベルトにさりげなくあしらいました。
このスカートを手にしてくださった方には、きっと「ずっと履き続けたい」と思っていただけるはず。
そして時にはこのストーリーをふと思い出し、特別な気持ちで身にまとっていただければ幸いです。
🔗 2025 AW Collectionのご予約は【8/15(金)20:00〜】よりスタート!
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